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西表島でのトンボ観察2024

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今年も西表島でトンボ観察をしてきました。2月ごろから現地の天気予報を気にして見ていましたが、平均気温がいつになく高そうなので期待して島を訪れました。

サイジョウチョウトンボ♂成熟

サイジョウチョウトンボ♀成熟

まずは昨年情報をもらっていたサイジョウチョウトンボです。到着した日は止水域を回ると早速縄張り飛翔する♂が3頭いました。翌日はサトウキビ畑の周りの風の当たらない木立や山際の池の周りなどでオキナワチョウトンボに混じって多数が見られました。昨年の段階では数はそれほど多くなく♀は見つかっていないと聞いていたのですが今回は♂も♀も沢山いて拍子抜けです。今年に入って急激に増えたのか、定着はほぼ確実でしょう。

 

サキシマヤマトンボ♂半成熟

サキシマヤマトンボ♀半成熟

キイロハラビロトンボ♂未熟

サキシマヤマトンボとキイロハラビロトンボはいつも通り♂♀普通に見られました。

 

タイワンコヤマトンボ♂成熟

タイワンコヤマトンボ♀未熟

メインのタイワンコヤマトンボは過去最高に観察数が多かったです。未熟個体が多かったですが既に成熟している個体もおり、午前中から夕方近くまで断続的に見られました。

 

イリオモテミナミヤンマ♂半成熟・♀成熟

イリオモテミナミヤンマ♀成熟

イリオモテミナミヤンマは一般的な発生時期は4月下旬からとされていますが、今回は4月21日の段階で既に成熟した個体が見られました。推測すると恐らく4月10日前後には羽化していたのだと思われます。

 

コフキオオメトンボ♂成熟

コフキオオメトンボは数は多くありませんが未熟・成熟ともに確認できました。

 

ハネビロトンボとヒメハネビロトンボの雑種と思われる個体♂成熟

画像の個体は翅斑紋、複性器の形状、額の青紫斑の特徴から雑種のような雰囲気が感じられますがDNA解析を依頼しないと断定は難しいです。

 

***

今回の探索でのトンボの発生状況から、今年は季節の進行が10日あるいは2週間程度早いと推察できます。2月、3月の気温を見てもある意味予想通りではありましたが、イリオモテミナミヤンマが成熟していたことやタイワンコヤマトンボがいつになく多く見られたのは少々驚きました。また、西表島のトンボ3種の神器ともいえるサキシマヤマトンボ、イリオモテミナミヤンマ、タイワンコヤマトンボ各種の♂♀を一回の遠征で全て観察できたのも良かったです。

サイジョウチョウトンボとオキナワチョウトンボの雑種については後日掲載します。

観察期間:2024年4月19日~25日

*林道での採集に関しては沖縄森林管理署へ入林届を提出の上、行っております。

 

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真冬のトンボ観察

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オツネントンボはその名の通り“越年”つまり成虫で越冬する種類として有名です。今回はそんなオツネントンボの越冬場所の1例を紹介します。

成虫が越冬していたのは上の写真のような公園案内板の柱の割れ目の隙間です。

何となく隙間を覗いてみると思い通りの場所に居ました。

(2024年1月19日撮影)

かなり狭い隙間でしたが携帯のカメラで動画撮影すると3頭は居るようです。

積雪から逃げる為地面からやや高い位置で雨風の当たらない場所。尚且つ太陽が当たり気温が上がりやすい場所と考えられます。

成虫で越冬するトンボの種類自体が少数派ですし、4枚の大きな翅のある昆虫がこのような隙間に入り込むことはかなり興味深いことです。

越冬中のオツネントンボの動画↓(2024年1月19日 筆者撮影)

今後は同じ場所にいつごろまで留まっているのか定期的な観察を継続したいと思います。

 

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青森県のトンボ 晩秋の陣

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オナガアカネ♂成熟(何らかのダメージにより赤みが弱い個体)2023年10月31日採集

オナガアカネは日本海から離れた内陸側で採集できた。

 

マダラヤンマ♂ 老熟 2023年10月23日採集

 

オオキトンボ老熟 2023年10月24日採集

 

来週末から雪マークが並ぶのでそれまでに終見記録が更新できそうなものはしたいところです。

 

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青森県のトンボ 晩秋の陣(大陸方面からの飛来種)

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オナガアカネ


タイリクアキアカネ

 

オナガアカネを含む赤トンボが雨宿りをしていた草叢

 

秋になると国外から海を渡って飛んでくる飛来種が見つかります。今年もそんな飛来種であるオナガアカネやタイリクアキアカネを観察できました。

日本海側における大陸方面からの飛来種の行動パターンをまとめてみます。

朝に大陸を出発したトンボが午後に日本に到着し始めるのか、海岸そばの防風林裏にある水田などに次から次へと入ってくるのを観察。♂はそのまま水田の部分的な水たまりなどで縄張りを形成、♀は付近の林縁や高く突き出た木の枝などに止まって摂食休憩。夕方は雌雄が陽当たりの良い林縁や付近の空き地で多くの他のアカネ類に混じって摂食する。前日の遅い時間に日本へ到着したと思われる個体が午前中に見つかるが、晴れていれば正午くらいには風に乗って内陸へと旅立って行くものと考えられる。また、朝から雨が降り気温が低い場合は、林縁にある背丈の低い雑草の群落の中などに静止して、陽が差すとすぐに飛び立つ。この時、オナガアカネなどの飛来種は耐寒性があるためか他のアカネ類よりも動き出すのが早い。

1日で複数の場所を探索することもあるので、時間帯などが合わないこともありますが行動パターンは概ね把握できます。その上で大陸からの飛来種が観察しやすい場所の条件をまとめると、、

1️⃣海岸から1キロ程度までの間
2️⃣防風林がある
3️⃣水田があり、ところどころに水が溜まっている
4️⃣近くに溜池がある
5️⃣陽当たりの良い林縁がある
6️⃣背丈の低い草地がある

といった感じでしょうか。在来種にも言えることではありますが、その日の風向きや気温で集まる場所は変わってくるので上記を満たさなくても見つかることもあるでしょう。

オナガアカネは在来種の赤トンボに混ざって高い枝先などに止まっていても、雌雄ともに独特のシルエットであることから見分けることもできます。

また、どこにでもいる種類なので気づかれないことが多いですが、アジアイトトンボやギンヤンマも飛来個体と思われるものが複数観察できました。飛来種の多くは海を渡って来るため、翅が潮風に揉まれて傷むのか、白っぽくなり独特の細かいシワが現れることが多いです。

 

記録

10月14日 2ヶ所

オナガアカネ24♂6♀

10月16日 2ヶ所

オナガアカネ12♂8♀

タイリクアキアカネ1♂

10月17日 1ヶ所

オナガアカネ19♂4♀

タイリクアキアカネ1♂

10月18日 1ヶ所

オナガアカネ4♂3♀

10月23日 1ヶ所

オナガアカネ10♂

 

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青森県のトンボ 秋の陣

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今年は暑い日が続きマダラヤンマの産卵や平地のオオルリボシの産卵活動はイマイチ。その代わりに夏のトンボがまだ頑張っており、ハネビロエゾトンボ、チョウトンボ、オオシオカラトンボ、ハラビロトンボなど県内の終見記録(9月24日)に並びました。

県内のリスアカネは北海道の個体の様に翅端斑が薄い個体が散見されます。また、以前紹介した♂型♀は別の地点でも結構な割合で確認できたので県内では割と普通なのかもしれません。

マイコアカネは県中央部でも♀の翅斑変異が結構豊富。

 

ノシメトンボ♂とミヤマアカネ♀の異種間連結を確認。他にはマユタテ♂とマイコ♀の組み合わせも確認できたので種間雑種を探さなくてはなりません。

 

以下、マダラヤンマとリスアカネの動画(筆者撮影)です↓

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