カテゴリー
ブログ ミナミヤンマ科 ヤマトンボ科 ヤンマ科 九州地方

鹿児島県(九州本土)でのトンボ採集 ダイジェスト

*本ページにはプロモーションが含まれます

更新がだいぶ遅くなりましたが、6月に鹿児島県の薩摩半島と大隅半島に行ってきました。ホームページ用の標本採集、ミナミヤンマの生息調査、雑種や飛来種の調査などが目的です。

噴煙を上げる桜島

 

滞在期間の前半は晴れマークがありましたが、後半はずっと雨です。おまけに桜島も頻繁に噴火しています。

ミナミヤンマの飛翔

 

前半は薩摩方面に滞在しましたが、辛うじて晴れ間が出てミナミヤンマを観察できました。

ミナミヤンマ♂(黒化型)

 

ミナミヤンマ♀(淡条型)

 

ミナミヤンマ♀(濃条型)

 

山頂からの景色

 

ミナミヤンマは♀の翅斑変異はもちろん♂の腹部黒化個体なども観察。

 

止水域の様子

 

雑種や飛来種狙いで止水域にも行きましたがトラフトンボ♂が居たくらいで特に成果なし。池の周りの休耕田ではハラビロトンボが大量に居たのでギナンドロモルフを探しましたがそう簡単に見つかるはずもありません。

 

雲が低い

 

倒木

 

後半は大隅半島ですが線状降水帯が発生して大雨警報が出る始末です。宿から1日出れない日もありました。雨が止んでいる間は出かけますがミナミヤンマに良さげな林道はほとんど通行止めになっており、通れる林道でも倒木があり自力で撤去しながら進みます。

 

大型のトンボが飛ぶ路上

 

雨が降っていないところを選んで探索しますがミナミヤンマは見られず、ヤブヤンマコヤマトンボだけは良く飛びました。

 

コヤマトンボ♂半成熟

 

コヤマトンボ♀未熟

屋久島や種子島のコヤマトンボは小型で黒化傾向が強いと図鑑類で記述があります。九州本土のコヤマトンボでも♂では腹部第5節の黄斑が消失し、第7節の環状斑も途切れる個体が居ました。胸部の黄斑もやや小さいように感じます。

 

 

マルタンヤンマ♀半成熟

 

結局最後の最後に寄った林道で土砂崩れで完全に道が塞がっている場面に出くわしてしまい、ミナミヤンマは諦めて宿近くの止水域でやることにしました。夕方前に到着するとオオギンヤンマ♂が縄張り飛翔していて、ネットを振りましたが空振りに終わりました。日が暮れるとヤブヤンマが複数飛び、マルタンヤンマも現れました。他にはキイロサナエキイロヤマトンボなど流水域のトンボも飛来していました。

 

観察期間:6月上旬

*本ページにはプロモーションが含まれます

カテゴリー
トンボ科 ブログ ミナミヤンマ科 南西諸島固有種

西表島でのトンボ観察2024

*本ページにはプロモーションが含まれます。

 

今年も西表島でトンボ観察をしてきました。2月ごろから現地の天気予報を気にして見ていましたが、平均気温がいつになく高そうなので期待して島を訪れました。

サイジョウチョウトンボ♂成熟

サイジョウチョウトンボ♀成熟

まずは昨年情報をもらっていたサイジョウチョウトンボです。到着した日は止水域を回ると早速縄張り飛翔する♂が3頭いました。翌日はサトウキビ畑の周りの風の当たらない木立や山際の池の周りなどでオキナワチョウトンボに混じって多数が見られました。昨年の段階では数はそれほど多くなく♀は見つかっていないと聞いていたのですが今回は♂も♀も沢山いて拍子抜けです。今年に入って急激に増えたのか、定着はほぼ確実でしょう。

 

サキシマヤマトンボ♂半成熟

サキシマヤマトンボ♀半成熟

キイロハラビロトンボ♂未熟

サキシマヤマトンボとキイロハラビロトンボはいつも通り♂♀普通に見られました。

 

タイワンコヤマトンボ♂成熟

タイワンコヤマトンボ♀未熟

メインのタイワンコヤマトンボは過去最高に観察数が多かったです。未熟個体が多かったですが既に成熟している個体もおり、午前中から夕方近くまで断続的に見られました。

 

イリオモテミナミヤンマ♂半成熟・♀成熟

イリオモテミナミヤンマ♀成熟

イリオモテミナミヤンマは一般的な発生時期は4月下旬からとされていますが、今回は4月21日の段階で既に成熟した個体が見られました。推測すると恐らく4月10日前後には羽化していたのだと思われます。

 

コフキオオメトンボ♂成熟

コフキオオメトンボは数は多くありませんが未熟・成熟ともに確認できました。

 

ハネビロトンボとヒメハネビロトンボの雑種と思われる個体♂成熟

画像の個体は翅斑紋、複性器の形状、額の青紫斑の特徴から雑種のような雰囲気が感じられますがDNA解析を依頼しないと断定は難しいです。

 

***

今回の探索でのトンボの発生状況から、今年は季節の進行が10日あるいは2週間程度早いと推察できます。2月、3月の気温を見てもある意味予想通りではありましたが、イリオモテミナミヤンマが成熟していたことやタイワンコヤマトンボがいつになく多く見られたのは少々驚きました。また、西表島のトンボ3種の神器ともいえるサキシマヤマトンボ、イリオモテミナミヤンマ、タイワンコヤマトンボ各種の♂♀を一回の遠征で全て観察できたのも良かったです。

サイジョウチョウトンボとオキナワチョウトンボの雑種については後日掲載します。

観察期間:2024年4月19日~25日

*林道での採集に関しては沖縄森林管理署へ入林届を提出の上、行っております。

 

*本ページにはプロモーションが含まれます。