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アカネ属 トンボ科 ヤンマ科 東北地方 飛来種

青森県で記録した飛来種2025

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今年は大陸からのみならず、東北地方ではあまり記録されない南方からの飛来種も確認できました。

オオギンヤンマ♂成熟 青森県 2025年10月

夏にハネビロトンボを記録(東北地方に珍しいトンボ飛来 – お気軽Webトンボ図鑑)した県央の場所ではオオギンヤンマを採集。採集個体以外にも摂食飛翔する1頭を目撃。県内では過去に3例の記録があるに過ぎません。今年は4月の西表島でも多数の本種を確認していたので広範囲に飛来する予感がしていましたが当たりました。

 

オナガアカネ♂成熟 青森県 2025年10月

 

オナガアカネ♀成熟 青森県 2025年10月

オナガアカネは近年毎年のように確認されており、県央の内陸部でも複数を記録。

 

マンシュウアカネ♂老熟 青森県 2025年10月

青森県では2000年台初頭に複数記録がありますが、2005年を最後に確認されておらず、今回は20年ぶりの記録と思われます。本種は他の飛来アカネに比べて圧倒的に記録が少なく、強い風が吹かないと飛来してこないようで、過去の天気と本種の記録を照らし合わせると、日本で最大風速5m以上または最大瞬間風速10m以上の北方面の風を観測した日及びその翌日に記録が多いようです。

 

大陸からトンボが飛来してくるプロセスの考察

大陸から青森県西海岸までの距離は最短ルートで約500km。 トンボは時速約70kmから100kmで飛ぶことができると言われています。これは個人的な予測に過ぎませんが、例えば、ロシア沿海地方を日の出時刻の7時半に飛び立ち、11時半に青森県西海岸に到着すると仮定。北方面からの強風に乗り飛行速度も増し、時速約120kmで約4時間飛び続けると仮定すると当日の朝ロシアを飛び立った個体がその日の正午前後に日本で採集されることは理論上成り立ちます。日本で夕方近くになって突如現れる個体は大陸を出発する時刻が遅かった個体だと思われます。
途中で海に落ちる個体も居ると考えると、大陸からより距離の近い北海道では確認される個体数も必然的に多くなります。
ちなみに北方系の飛来種は夜は寒さで飛べないと思われます。(南方系飛来種は夜間も飛んで移動することがあるらしい)

 

観察日程:2025年10月

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イトトンボ科 エゾトンボ科 トンボ科 ブログ 東北地方

青森県でもトンボシーズン開幕

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今年は季節の進行が遅いようで(近年が早すぎる)5月半ばでも標高の高い場所ではかなりの量の残雪が見られる状態でトンボどころではありませんでした。

そこで大人しく平地を攻めます。5月9日はオオトラフトンボなどの羽化狙いで日本海側の湖沼群に行きましたが、アジアイトトンボが羽化ピークでオオトラフは抜け殻もまだ無いような状態でした。

数日間の低温日明けの5月13日は県中央部にある山際の平地の池へ。気温も上がりようやく不均翅亜目のコサナエの羽化を確認。エゾイトトンボも多数羽化していました。

コサナエ♀のテネラル

 

エゾイトトンボ♀のテネラル

 

エゾイトトンボのテネラルやオツネントンボが摂食活動するスギナの群落

 

翌日14日は再び日本海側の湖沼へ。到着が昼前になってしまいましたが湖岸を歩くと多数のテネラルなヨツボシトンボと数頭のオオトラフトンボが飛び立ちます。じっくり探すとオオトラフの抜け殻が複数見つかりました。もう少し早い時間に来るべきでした。

湖岸の菜の花群落ではアジアイトトンボやヨツボシトンボが集まってハチやアブを捕食しているシーンに出くわしました。オオトラフトンボもお花に埋もれて羽化しています。

羽化しているトンボもほとんど飛び立った後は昨年見つけたオオトラフ摂食ポイントへ行きましたが標高がやや高いため気温が低く残雪も多くトンボの気配は無しでした。

ヨツボシトンボ♂のテネラル

 

オオトラフトンボ♀の羽化

 

残雪

 

15日は前日と同じ場所へ。昨日の教訓を活かし9時に到着し岸辺を歩くとすぐにオオトラフトンボの羽化途中の個体が見つかりました。昨日より羽化個体と抜け殻の数は多く、20頭以上は羽化していました。この日は気温が一気に27℃くらいまで上がったので10時半くらいにはトンボたちの羽化は終わったようです。その後は付近の別の池も周りましたが不思議と何も見つかりません。既存のオオトラフ摂食ポイントよりやや標高が低い峠を見に行くもこちらもハズレ。

オオトラフトンボの羽化

 

16日は県中央部の山地の池に行ってみましたがやはり未だ残雪が多くトンボの羽化は見られません。

18日は県中央部の丘陵地にある池へ。10時くらいに1つ目の池を見ますがトンボの気配なし。2つ目の池の前で車を降りると高空をオオトラフトンボ♀が摂食飛翔しています。低くなってきたかと思うと南側の林へ消えていきました。居ることが分かったので池の岸辺を探します。すると抜け殻複数と羽化個体5頭、羽化後1日以上経過したと思われる未熟♀1頭が見つかりました。

オオトラフトンボ♂の羽化

 

オオトラフトンボ♀のテネラル

 

オオトラフトンボ♀未熟

 

観察期間:2025年5月8日~18日

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トンボ科 ブログ ヤマトンボ科 関東地方

キイロヤマトンボの観察

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近年キイロヤマトンボの記録が各地で増えているようなので特に力は入れていませんが既産地の確認と新市町村での記録を狙って出かけてみました。

まずは新規の場所に行ってみました。この日は気温が高すぎて大型のトンボは全く見かけませんでしたが、代わりにシオカラトンボの♂型♀を採集できたのは収穫でした。

シオカラトンボ♀成熟(♂型♀)

 

あまりにも暑いので休憩を挟み一昨年見つけた既産地での黄昏飛翔を観察することにしました。この産地は5月の発生初期の個体数は少ないのですが6月中旬からはかなり多くなります。

キイロヤマトンボ♂未熟

最高気温は30℃を超えていましたので活動が盛んになり始める15時頃現地に到着してポイントを見て回ります。風が少し出てきましたがキイロヤマトンボは樹林の風よけになる空間に集まり始めていました。

キイロヤマトンボ♀未熟

飛翔は断続的に18時半頃まで見られましたが未熟個体が多かったです。ちょうど遅生まれの個体のピークなのでしょう。みな狂ったように飛び回り小さな虫を捕食していました。

キイロヤマトンボ♀成熟

この日は日没直前の飛翔はありませんでしたが、今年も多くの個体を確認出来て良かったと思います。

観察日:2024年6月14日

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トンボ科 ブログ ミナミヤンマ科 南西諸島固有種

西表島でのトンボ観察2024

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今年も西表島でトンボ観察をしてきました。2月ごろから現地の天気予報を気にして見ていましたが、平均気温がいつになく高そうなので期待して島を訪れました。

サイジョウチョウトンボ♂成熟

サイジョウチョウトンボ♀成熟

まずは昨年情報をもらっていたサイジョウチョウトンボです。到着した日は止水域を回ると早速縄張り飛翔する♂が3頭いました。翌日はサトウキビ畑の周りの風の当たらない木立や山際の池の周りなどでオキナワチョウトンボに混じって多数が見られました。昨年の段階では数はそれほど多くなく♀は見つかっていないと聞いていたのですが今回は♂も♀も沢山いて拍子抜けです。今年に入って急激に増えたのか、定着はほぼ確実でしょう。

 

サキシマヤマトンボ♂半成熟

サキシマヤマトンボ♀半成熟

キイロハラビロトンボ♂未熟

サキシマヤマトンボとキイロハラビロトンボはいつも通り♂♀普通に見られました。

 

タイワンコヤマトンボ♂成熟

タイワンコヤマトンボ♀未熟

メインのタイワンコヤマトンボは過去最高に観察数が多かったです。未熟個体が多かったですが既に成熟している個体もおり、午前中から夕方近くまで断続的に見られました。

 

イリオモテミナミヤンマ♂半成熟・♀成熟

イリオモテミナミヤンマ♀成熟

イリオモテミナミヤンマは一般的な発生時期は4月下旬からとされていますが、今回は4月21日の段階で既に成熟した個体が見られました。推測すると恐らく4月10日前後には羽化していたのだと思われます。

 

コフキオオメトンボ♂成熟

コフキオオメトンボは数は多くありませんが未熟・成熟ともに確認できました。

 

ハネビロトンボとヒメハネビロトンボの雑種と思われる個体♂成熟

画像の個体は翅斑紋、複性器の形状、額の青紫斑の特徴から雑種のような雰囲気が感じられますがDNA解析を依頼しないと断定は難しいです。

 

***

今回の探索でのトンボの発生状況から、今年は季節の進行が10日あるいは2週間程度早いと推察できます。2月、3月の気温を見てもある意味予想通りではありましたが、イリオモテミナミヤンマが成熟していたことやタイワンコヤマトンボがいつになく多く見られたのは少々驚きました。また、西表島のトンボ3種の神器ともいえるサキシマヤマトンボ、イリオモテミナミヤンマ、タイワンコヤマトンボ各種の♂♀を一回の遠征で全て観察できたのも良かったです。

サイジョウチョウトンボとオキナワチョウトンボの雑種については後日掲載します。

観察期間:2024年4月19日~25日

*林道での採集に関しては沖縄森林管理署へ入林届を提出の上、行っております。

 

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