オオトラフトンボ Epitheca bimaculata sibirica

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オオトラフトンボ Epitheca bimaculata sibirica Selys, 1887

体長:55㎜~67㎜内外

成虫出現時期:5月上旬~8月下旬(5月下旬~7月中旬に多い)

分布:北海道、青森県、秋田県、岩手県、山形県、宮城県、福島県、新潟県、群馬県、長野県、山梨県

生息環境:丘陵地から山地の浮遊性植物のある池沼、ダム、湖(北東北や北海道では平地でも見られる)

備考:一見、エゾトンボ科の様には見えないが、額上部や胸部の黒色に見える部分をよく観察すると鈍い金属光沢があり、その点はエゾトンボ科の特徴を備えていると言える。

水域に産卵にやって来る♀は一度水面の状況を下見するかのように飛んでから、付近の下草や木の枝に静止し、反らせた腹端に卵塊を溜め始める。卵塊が大きくなると飛び立ち、水面スレスレを卵塊の付いた腹部を反らせながら敏速に飛び回り、浮遊植物がないか探す。気に入った浮遊植物を見つけると、それをめがけて1度だけ打水する。この時、浮遊植物に卵をしっかり絡ませるため力が入り、2秒間くらい腹部だけで水面に立っているように見える。産卵を終えた♀は徐々に高空に舞い上がり、やがて水域上空を何往復かして遠方へ飛び去る。この時、同時に摂食を行っているような飛び方も確認できた。

池をパトロールしている♂は♀がやって来ると追尾するが、卵塊を付けて飛んでいる♀に対しては軽く追い払うような仕草を見せるだけで連結には至らない。一方で卵塊を付けていない下見に来たような♀個体を見つけると一気に高速で襲い掛かり、逃げ切られるか♂♀共にもつれ合って水面や地面に落下するか空中で連結態となる。連結すると直ちに交尾態となり付近の樹上に静止するか高空へ飛び去って行くのが観察できる。

水域に現れる成熟成虫の場合、晴天の暑い日には早朝から日没まで活動が行われる。未熟個体は日中に摂食活動を行っていた。

摂食飛翔は未熟・成熟とも主に山地の林道上などで行われる。青森県では5月に未熟個体が山麓の標高約330m付近の峠状になっている場所に集まって摂食していた。

♂♀ともに成熟後期に入ると身体全体が黒化傾向になる。

後翅付け根の褐色斑の大きさは個体差がある。

トラフトンボとオオトラフトンボの識別

 

♂成熟 山梨県 2015年6月

 

♂老熟 山梨県 2016年7月

 

♂成熟 青森県 2024年6月

 

♂成熟 青森県 2024年6月

 

♀成熟 山梨県 2019年6月

 

♀成熟 山梨県 2019年6月

 

♀成熟 山梨県 2016年6月

 

♀老熟 北海道 2022年7月31日

 

♀未熟 青森県 2024年5月

 

♀成熟(基部翅斑縮小・透明翅型)青森県 2024年6月

 

♀成熟 青森県 2024年6月

 

オオトラフトンボの動画↓(筆者撮影)