トンボの生活史・行動

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ここではトンボ(成虫)の基本的な生活のサイクルや行動を解説する。

 

羽化

オオトラフトンボの羽化(倒垂型)

 

ミヤマサナエの羽化(直立型)

 

オオトラフトンボ羽化(倒垂型)

 

ミヤマサナエ羽化(直立型)

 

トンボは不完全変態の昆虫のためセミなどと同様にサナギにならず幼虫の次のステージは成虫となる。トンボの羽化形態は2種類ある。直立型:概ね地面と平行または、やや垂直気味に定位して幼虫から上に向かって成虫が出てくる倒垂型:植物に登ったりして概ね地面と垂直またはぶら下がるように定位して幼虫から仰向けの格好で出てきた成虫は脚が乾くと起き上がって腹部を抜き、抜け殻にぶら下がるような姿勢になる。

直立型の羽化を行うトンボは均翅亜目全般、ムカシヤンマ科、サナエトンボ科、ウミアカトンボとされており、それ以外のトンボは全て倒垂型である。

 

 

未熟期

ホソアカトンボ未熟休止

 

ルリボシヤンマ未熟休止

 

ミナミトンボ未熟摂食飛翔

 

ミナミヤンマ未熟摂食飛翔

 

ムツアカネ羽化直後(テネラル)

 

羽化したトンボは身体が成熟して繁殖活動を行えるようになるまで多くの種類で2週間前後かかり、この時期の状態を未熟と呼ぶ。羽化直後(テネラルと呼ぶ)は複眼が曇っていて、身体も柔らかい状態だが、時間が経つにつれて複眼が透き通り身体も固くなる。種類によっては未熟と成熟で体色が大きく変化するもの、秋に活動する種類や成虫で越冬する種類などでは成熟までに数か月かかるものもいる。

未熟の期間は主に発生水域付近で摂食したり目立たない場所で休止したりして過ごすが、風の当たらない場所や餌となる小さな虫のいる場所に多数の個体が集結する場合もある。また、平地で羽化した個体が夏季の暑さから逃れるため、元々の繁殖場所から離れて標高の高い山頂付近まで一時的に大移動する種類(アキアカネやミヤマサナエなど)も知られている。

研究者によっては未熟期間の後半から成熟手前までの期間を半成熟と呼ぶことがあり、この時期の個体は産卵はしないがパトロール飛翔や交尾は行うことがある。(均翅亜目の種類では羽化直後の♀個体と交尾するものも知られている)

 

 

成熟

ホソアカトンボ縄張り

 

コフキショウジョウトンボ交尾

 

コシボソヤンマ縄張り飛翔

 

オオルリボシヤンマ縄張り争い

 

オオアオイトトンボ連結

 

ムツアカネ捕捉

 

オオルリボシヤンマ追尾行動

 

〔縄張り〕無事に未熟期間を終えて十分に成熟した♂個体は縄張りを持つようになり、同種の他の♂や他種が侵入してくると争いが起きる。トンボの♂同士の争いでは飛びながら激しく体当たりしあったり、縄張りの外へ猛スピードで追い回したり場合によっては噛みついたりもする。コシアキトンボなどは2頭の♂が並んでホバリング飛翔したのち、一気に遥か上空まで追尾して争う。

〔連結・交尾〕♀を見つけた♂は強引に掴みかかり(場合によっては嚙みついたり墜落させて)連結して交尾に至る。不均翅亜目では♂の上下尾部付属器で♀の頭部(複眼)を挟み連結し、均翅亜目では♂の上下左右尾部付属器で♀の頭部と胸部の間(首根っこ)を掴み連結する。種類によっては直ちに連結に至らなかったり、連結してから一旦縄張りから離れていく場合もある。交尾は♂と♀が連結した状態で♀の腹端を♂の副性器にあてがい、2頭がリング状になって行う。

〔移精〕トンボの♂は精巣と交尾を行う生殖器官が別の部位にある。腹部第9節腹面に精巣、第2~3節腹面に副生器があるため♂は移精行動をする。移精行動は腹部を腹面方向に曲げて第9節を副性器に着けて行うが、これは連結直後の交尾直前に行う場合や休息中に行うこともある。

〔異常連結〕複数の♂が縄張りを張っている場所では1頭の♀が現れると複数の♂が同時に連結を試みるため、しばしばきりもみ状態となり♂同士の誤連結や♂+♂+♀などの3連結以上(♀に連結能力はないので♀は基本的に1頭ないしは0頭)になる場合がある。また、姿形の似ている種類が混生している場所では異種間での連結に至ることがあり、いずれにしても短時間で離れる場合がほとんどだが、近縁種同士が交尾に至ると種間雑種が生じることもある。

〔成熟後の色彩変化〕基本的にトンボの♂は常に縄張りをパトロールしていることが多いが、♀は産卵と摂食の時以外は現れない。♂は♀より紫外線に晒される時間が長いためか体色が褪せるのが早い。これは黄色部分を持つサナエトンボ科やヤマトンボ科などで分かりやすく、♂の黄色部分が♀に比べて白っぽい場合が多い。(♀も時間が経って老熟すると白っぽくなる)

 

 

産卵

キトンボ連結産卵

 

リスアカネ連結打空産卵

 

オオシオカラトンボ警護付き産卵

 

オニヤンマ打水産卵

 

オオルリボシヤンマ産卵

 

産卵は交尾後に連結を解いて♀が単独で行う場合と♂♀連結状態で行う場合があり、単独の場合は♂が付近に留まって警護を行う場合もあるが、種類によって異なる。

産卵管を持つ種類は基本的に地面や植物に静止してその組織内に産み付ける。産卵弁を持つ種類は基本的に飛びながら水面や空中を打ち付けるように行うが、静止して産み落とす種類もいる。

タカネトンボやキトンボなどは打水して一旦腹部に水を付けてから卵とともに岸辺に飛ばす方法をとる。またシオカラトンボの仲間などは腹端がサジ状になっており、水を掬って卵とともに岸辺方向に飛ばす方法をとる。これらは水中の外敵から卵を守るためと思われる。

 

摂食

マダラヤンマ摂食

 

マダラヤンマ摂食

 

ヒラサナエ摂食

 

ヤブヤンマ摂食飛翔(黄昏飛翔)

 

トンボは完全肉食で未熟・成熟ともに摂食を行う。蚊などの小さな虫であれば飛びながら完食してしまうが、場合によっては身体の大きなトンボを餌として捕らえることもあり、このような場合は静止して食べることもある。また、一部の種類ではクモを食べることがある。トンボの脚にはたくさんのトゲが生えており、脚を籠状に縮めて獲物が逃げないようにすることで大きな昆虫でも捕らえることを可能にしている。

産卵を終えた直後の♀個体はエネルギーを消費しているためか盛んに摂食を行うことが多い。

早朝や夕方の薄明薄暮時に活発に摂食飛翔することを黄昏飛翔と呼び、主にムカシトンボ科、ヤンマ科、エゾトンボ科、ヤマトンボ科、オニヤンマ科、ミナミヤンマ科、オセアニアモリトンボ科、トンボ科の一部の種類などが行う習性がある。

夏の高温時など水面に飛び込んで水を飲んだり水浴びをすることもある。

 

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