カラスヤンマ(ミナミヤンマ)の翅斑変異

一般的にカラスヤンマ♀の翅の大部分が黒褐色なのはオキナワミナミヤンマとの種間の形態差が際立ったためとされるが、オキナワミナミヤンマの分布しない慶良間諸島の個体群も翅の大部分が黒褐色で、さらには奄美大島でもカラスヤンマに近い翅斑の濃い個体が得られるため、管理人個人的にこの説にはやや疑問が残る。

書籍”トンボでわかる快適環境”では”カラスヤンマ(ミナミヤンマ)♀の翅斑(主にメラニン色素)は地域により異なる紫外線に合わせて変化している”とされている。
また同書では翅斑が基部から結節にかけて発達するグループと結節から先端にかけて発達するグループがあると解説しており、翅の色づき方の傾向も地域や地形・気候により微妙な違いがある。

発生期の長いミナミヤンマ科の種類は遅い時期、つまり紫外線の多い夏季に出る個体の方が翅斑が濃くなる傾向にあるが、これを考えると後者の説に納得できる。

 

ミナミヤンマ♀(高知県)

 

ミナミヤンマ♀(鹿児島県・九州本土)

 

ミナミヤンマ♀(鹿児島県・奄美大島)

 

ミナミヤンマ♀(鹿児島県・徳之島)

 

カラスヤンマ♀(沖縄県・沖縄本島)

 

カラスヤンマ♀(沖縄県・渡嘉敷島)